『シニアのフィットネスは、アクティブ+10』
(株)プロフィットジャパン
菊賀信雅

今や、フィットネスクラブの会員の中での年齢構成割合で、最も多いのは60歳以上です。
経済産業省の統計では、フィットネスクラブの会員の年齢構成比の変化は、グラフ1のように、
60歳以上の会員比率が、年々増加し、平成15年では、17.5%だったものが、平成26年には、30.3%となっています。おそらく今は、さらに増えていることが予想されます。
また、若い層は、平成15年には、20歳台、30歳台が約5割だったものが、平成26年には、約3割となり、40歳以上が7割となっています。

これをみても、フィットネスのお客様の平均年齢は、確実に上がっています。これからはさらに高齢化が進み、平均年齢が上がることが予想されます。
まさにシニアフィットネスの時代といってもいいかもしれません。人口問題研究所の50年後の統計で、65歳以上の割合が今より、12%増える予測ですので、フィットネスの会員構成の中の4~5割が、60歳以上となるかもしれません。
シニア層の需要が高まる中で、フィットネスクラブでは介護予防の効果に着目したサービスが活発化しています。リハビリとフィットネスの融合を目指した機能訓練施設の開設、コンビニエンスストアと連携した健康管理サービスの実施、スポーツクラブ型のデイサービス、自治体の介護予防事業の受託、医療機関と連携したサービス等、シニア層を意識した総合事業など、数多くの取組が実施されています。

経済産業省の担当者は、「フィットネスクラブ」は「生活関連サービス業,娯楽業」という位置付けから、「健康産業」として、「医療,福祉」に近い存在になっているとも言えるのではないかと分析しており、 第3次産業活動指数(17年=100)で、「フィットネスクラブ」と「生活関連サービス業,娯楽業」の動向を比較してみると両者は全く異なる動きを示しており。(グラフ2)「フィットネスクラブ」は、景気感応度が低く、緩やかな上昇を続ける「医療,福祉」に近い動きを示しているとしています。

フィットネスクラブでは、有酸素運動や筋力トレーニングを中心とした積極的に身体を動かすというプログラムを提供していますが、参加している人は、本当に元気な高齢者であり、ほんの一部です。
経済産業省、第3次産業活動指数と特定サービス産業動態統計のフィットネスクラブの会員数は、平成29年で、336万人であり、そのうち30%が、高齢者としても、100万人です。
昨年敬老の日の調査での高齢者(65歳以上)は、3,514万人でしたので、やはり参加率は約3%です。
97%のシニアの世代は、フィットネスクラブには参加しておらず、また積極的な身体活動には、取り組めていない可能性があります。

厚生労働省は、シニアのためのアクティブガイドを出しています。シニア世代は、身体の機能が低下しないよう身体を動かす習慣をつけることが大切としています。無理せず、今より一日10分多く、身体を動かすこと(+10、プラステン)から始めることを推奨しています。

シニアに必要な「身体活動」とは

身体活動とは、安静にしている状態よりも多くエネルギーを消費するすべての動作のことであり、家事や歩行、動物の世話などの「生活活動」と、スポーツや筋力トレーニングなどの「運動」の2つがあります。日本では、高齢者の体が不自由になる原因の多くは生活習慣病と、筋肉や骨・関節(運動器といいます)の衰えによるものです。50歳を超えて体をほとんど動かさないとそれまでと異なり、身体の各部の衰えが顕著になってきます(廃用性萎縮)。膝や腰、足首、肩など、各関節がこわばり、いままで普通に動いていた関節が、動かなくなり、立つ、座る、身体を曲げる、起こすが、大変になり、動くのがおっくうになります。これらを予防するために、「身体活動」が推奨されています。
毎日今より10分多く体を動かすだけで、健康寿命が長くなる効果があることが明らかになっています。

毎日+10分の身体活動を実践する具体的方法
●ずっと寝たまま、座ったままでいない
●家事をする、子供や動物と軽く遊ぶ
●庭の手入れや、散歩もおすすめ
●体操や筋力トレーニングなどの「運動」
も取り入れると、より効果が高く!

シニア層に向けた+10〔プラス・テン〕のコーチング
■いつ、ならできる?「いつ」のヒント
●朝、起きたら
●家事をしながら
●買い物に出るとき
●お風呂に入る前に

■どこで、できる? 「どこで」のヒント
●寝室で
●台所で
●庭で ●お風呂で
●公園で  ●駅で

■何ならできる? 「何」のヒント
●体操やストレッチ
●近所のお宅を訪問
●歩いて行く ●自転車で行く
●庭の手入れ

「いつ」、「どこで」、「何なら」できるを一緒に考えてあげることで、お客様の気持ちに寄り添うことが大切です。

■地域とのつながりを持つ

人と一緒に活動することは、とても有効なプラステンです。
体を動かすための方法として、地域のサークルやボランティア、町内会の活動などに参加するのもおすすめです。
仲間と一緒なら自分一人で活動するより継続でき、社会とつながることで、新しい交友関係も築けます。

「じっとしていないで+10(プラス・テン)!」

とにかく、じっとしていないことを習慣化する、コーチングを心がける。
まずは今より10分多く、動くことを指導します。
立ち話でも、植物への水やりでも、孫や動物の世話でもいいのです。
『じっとしていないで、動きましょう!』を実践していただけるようサポートします。
じっとしている=座り続けることは、「座位行動」といって、身体への悪影響が指摘されています。
座位行動とは、「座位および、臥位におけるエネルギー消費量が1.5メッツ以下のすべての覚醒行動」と定義されています。
最近の研究では、長時間継続する座位行動は、好ましくない代謝経路を活性化すること、短時間の筋収縮であっても、継続している座位時間をブレイクすることで、好ましくない代謝経路(脂肪の蓄積)を阻止できるとしています。よって、1日の座位時間が同じでも、長時間座位姿勢を続けるのではなく、こまめにブレイクすることが好ましいことになります。
行動科学的視点で見ると「座ること」と「動く(歩く)こと」の間には、「立つ」という行為があり、立ってしまえば動く(歩く)ことも比較的容易になります。よって、もっと立つことを意識すべきです。
また、高齢化が進んでいる日本では年代が上がるにつれて、余暇生活におけるテレビ視聴時間が長くなる傾向にあり、1日のうち50歳代で3時間以上、60歳代では4時間以上、70歳代では5時間以上、テレビを座位行動により見ています。一日の視聴時間が4時間超えると、死亡率が上がり、冠動脈疾患や糖尿病、メタボリックシンドローム、がんなどの健康阻害リスクも高まるという報告が、数多くされています。
よって、シニア層にも、テレビを見ながらストレッチや体操をするなど、身体活動を増やす意識を持つことが大切だと思います。