『世界のフィットネスクラブの参加率と日本での参加者の現状!』
(株)プロフィットジャパン 菊賀信雅

2016年2月6日の読売新聞に、世界のフィットネスクラブの会員数のデータが、掲載されていました。
それによると、世界で最もフィットネスクラブの会員が多いのは、アメリカで5,410万人、2位がドイツで908万人、3位がイギリスで830万人、以下ブラジル、スペイン、カナダ、フランス、イタリア、日本、中国の順で記載されていました。
表①

それを、各国の人口で割って人口における参加率を算出すると、アメリカは参加率17.4%、ドイツは11.0%、イギリスは13.4%、スペイン14.6%、カナダ16.8%と10%を超えている国があるのに対して、日本は、3.3%と以前から言われている参加率とあまり変わっていません。(表①)
その記事の中では、アメリカのフィットネスクラブの会員数とクラブ数の推移も出ており、クラブ数は34,460ヵ所で、
05年と比べて7,000ヵ所以上増加し、会員数も1,000万人以上増加したと報告しています。
増えた理由としては、IHRSAの副会長は、アメリカ人は「健康維持にとって身体を動かすことがきわめて大事だという事をよく理解している」としたうえで「アメリカ人は他国の人と比べて競争好きな面があり、ハードな運動に挑戦するプログラムに人気が集まる」と分析しています。アメリカのフィットネス業界全体の売上は、2013年、2兆6,200億円から2014年2兆8,500億円と増えており、このところの特徴は、①バイクやヨガ、ボクシングなどに限定したもの、②低価格でより多くの集客をねらうもの、③24時間使用可能なクラブが増えている、などがあるとしています。
IHRSAの副会長は、「世界的に高齢化が進み、さらに我々の生活スタイルはよりストレスの多いものになっており、フィットネスの重要性はさらに高まっていく」と予測しています。
また、日本国内でのフィットネス産業の状況をまとめたデータとしては、経済産業省の昨年発表された第3次産業活動指数と特定サービス産業動態統計でみる「フィットネスクラブ」の動向で、興味深いデータが報告されています。それによると、スポーツ施設数、売上が向上し、一世帯当たりの使用料金等も上がり、シニア層の健康志向は引き続き高まりを見せています。詳細は、以下の通りです。

グラフ①

「スポーツ施設提供業」の推移を見てみると、「スポーツ施設提供業」(全体)が横ばい傾向の中、内訳の一つである
「フィットネスクラブ」は上昇傾向で推移しています。「フィットネスクラブ」は、26年に3年ぶりに前年比▲2.9%のマイナスに転じたが、指数値は129.5(17年=100)と高い水準です。(グラフ①)

グラフ②

フィットネスクラブ利用者数(延べ利用者数)は、22年までは、縮小傾向にあったものの前年比プラスを続けています。
震災が発生した23年は前年比▲1.5%のマイナス、24年、25年は増加したが、26年は3年ぶりに同▲2.9%のマ
イナスに転じています。フィットネスクラブ売上高(前年比)の動向を見てみると、18年までは前年比プラス幅が拡大、19年、20年はプラス幅が縮小し、21年、23年はマイナスとなった。しかしながら、24年は前年比1.8%、25年は同2.5%、26年は同1.8%と3年連続の増加が続いています。(グラフ②)

グラフ③

フィットネスクラブの需要側の動きを確認するため、総務省の家計調査(二人以上世帯)で、1世帯当たりの「スポー
ツクラブ使用料」に対する実質消費支出額(前年比)の動向を見てみると、震災が発生した23年は減少したが、24
年以降は増加し続けています。(グラフ③)

グラフ④

どの年齢層で「スポーツクラブ使用料」に対する支出が多いのかを確認するため、世帯主の年齢階級別に26年の
「スポーツクラブ使用料」の特化係数を算出してみると、世帯主が60歳代の世帯が1.61、70歳以上の世帯が1.14と
他の年代と比べて高くなっています。この傾向は前回(24年)と同様です。
特化係数を24年と比較してみると、26年は20歳代以下、30歳代、40歳代、50歳代が低下する一方、60歳代、70歳以上が上昇しています。(グラフ④)

グラフ⑤

世帯主の年齢階級別に26年の「スポーツクラブ使用料」に対する1世帯当たりの年間支出金額を見てみると、世帯主が60歳代の世帯の支出金額が7,194円と最も多くなっています。また、1世帯1人当たりの年間支出金額をみても、世帯主が60歳代の世帯の支出金額が2,655円と最も多い状況です。(グラフ⑤)

グラフ⑥

会員の年齢別構成比の推移を見てみると、全人口の年齢別構成比の変化幅以上に、20歳代以下、30歳代の会員比率が
低下し、60歳以上が上昇しています。この傾向は25年以降も続いています。26年は60歳以上の会員比率が30.3%と最も高くなっています。シニア層の需要が高まる中で、フィットネスクラブでは介護予防の効果に着目したサービスが活発化しています。リハビリとフィットネスの融合を目指した機能訓練施設の開設、コンビニエンスストアと連携した健康管理サービスの実施、スポーツクラブ型のデイサービス、自治体の介護予防事業の受託、医療機関と連携したサービス等、シニア層を意識した数多くの取組が実施されています。

グラフ⑦

「フィットネスクラブ」は「生活関連サービス業,娯楽業」という位置付けから、「健康産業」として、「医療,福祉」に近
い存在になっているとも言えるのではないかと思われます。 第3次産業活動指数(17年=100)で、「フィットネスクラブ」と「生活関連サービス業,娯楽業」の動向を比較してみると両者は全く異なる動きを示しています。(グラフ⑦)
「フィットネスクラブ」は、景気感応度が低く、緩やかな上昇を続ける「医療,福祉」に近い動きを示しています。

現在の日本の状況は、フィットネス対象人口に占める40歳以上の割合は、以下の様に約68%、またフィットネスクラブでの40歳以上の割合も68%と同率であり、介護予防の効果に着目したサービスを提供し、シニア層を意識した数多くの取組を行うことで、健康寿命を延伸しまた、フィットネス業界を活性化されるものと思われます。(表②)
前号までのフィットネス業務として伸びる方向性や特徴としての「専門性」、「疾病予防サービス」、「パーソナル」、「メディカル」、「リハビリ」、「リラクセーション」のキーワードは、現在も生きているものと思われます。

表②